甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。





「これ……拾った…」



ある日の村雨くんが落としたところを拾って、犬丸スッと自分のポケットに迷わず入れてしまった。

までをちゃんと説明した私、いい子えらい子。



「沙蘭に怒られるぞ。落ちてるもの拾ってくんなって」


「……うい」



でもこれだけは拾わなくちゃって犬丸センサーが言ってたんだ。

その表面を見た瞬間、一条くんはやっぱり目を開いた。



「………、」


「村雨くん、今でもずっと宝物にしてたんじゃないかなあって…」



中学生の男子生徒がふたり。

学ランを気崩した一条くんの隣に、ピシッと真面目に着こなした村雨くん。


それは今より少し幼いふたりが並んだ写真だった。


ふたりして笑顔、ふたりしてピース。

こんなの見たら犬丸、あの人を悪い人だなんて、敵だなんて言えないよ。



「…馬鹿だろ、あいつ」



振り絞るような震えた声を聞いて、私は彼の背中をそっと撫でた───。