甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。





それに助けてくれたのだって沙蘭くんだった。

あと怒られた。
めちゃくちゃ、すっげえ怒られた。



「うぅぅ…っ、知ってるもんっ…、犬丸ばっちり見ちゃったもん……、家政婦ならぬ犬丸は見た……っ」



忘れたくとも忘れられないんだから意地悪すぎる。


あれなに?なんで?
なにしてたの?

一条くんは犬丸専用じゃないの……?


そんな疑問ばっかり浮かんで答えはひとつも返ってこないとか、犬丸はこの世の中に嫌われてるんだとまで思っちゃう日々。



「いぬまる」



見下ろしてくる一条くんのビジュ……。

そりゃあ美人さんが隣にいて当たり前だ。
いなきゃおかしい。


なのにこいつ…、おい犬丸が泣いてるの見て喜んでるぞ……。



「俺が他の女と仲良くしてんの、嫌だったんだ?」


「っ…!」


「泣くぐらい、嫌だったんだ?」



私の外れかかった制服のボタンを戻しながら、どうにも嬉しくてたまらないみたいだった。