「犬丸ちゃん。今日はアタシが送っていくわ」
「えっ、でも今日は一条くんが…」
「千明ちゃ~ん、犬丸ちゃん借りるわよ~」
それから帰る頃、リュックを背負った犬丸の肩をポンッと叩いたのはトビちゃんだった。
しかし「いい」と、即答が返ってくる。
「んもうっ!かけがえのない乙女同士、たまには腹を割ってお話したいの~!!」
「…は?“同士”って、ふたり以上のことだぞ」
「ん?なにかおかしなことでも言ったかしらアタシ」
「…………」
出た、沈黙。
それは一条くんの目が伝えてきていて、そんなものを解読できるのは犬丸以外だ。
解読だけじゃなく同じように伝え合うことができるのだって。
少しして「わかった」と意見を変えたことが証拠。
「あ、まって猿」
「あ”ぁ”ん”!?だからアタシは乙女だっつってんだろーがッ!!」
「はいはい」
つぎにストップをかけたのは沙蘭くん。
彼の精神安定剤でもある飴をひとつ私に渡して、トビちゃんに注意を投げかけた。



