気が付いたら
先生の車の中に居た。
「気が付いた?」
運転席の菜々花先生が
振り返って言った。
「はい…。」
「だから辛いなら
言ってねって言ったのに。
強がるから。」
強がってなんかいない。
車が去った後
急に、だったのだ。
「体調回復したら
皆のところに戻る?」
「…もう、戻りますよ。」
「大丈夫?」
「はい。」
強がっては居ないが
やはり男としては
弱いところを見せたくない。
ましてや好きな人に
そんな所を見せるなんて。
(ごめん、先生…。)
僕は車を降りて
皆のところへ戻った。