「けが人がいるんだ! ゲームを中断してほしい!」




文秋が慌てて叫ぶ。

きっと、部屋にはそれぞれ監視カメラがついているはずだ。

異変があればすぐにゲームを中断させることができるように。




「声は届いてないのかもしれない」




梨乃はそう呟くと天井へ向けて両手を振った。

これなら声を拾っていなくても異変に気がついてもらえるはずだ。

文秋も同じように監視カメラがあるはずの天井へ向けて手を振り始めた。

春美は1人、部屋の奥にあるベッドに座って傷口を濡らさないようにしている。




「春美、大丈夫だよきっと誰かが来てくれるから」


緊急事態のためのジェスチャーや扉が用意されていないのは、実験的なゲームのせいだろうか。

もっと、慎重に作ってほしかった。