「到着しましたよ」




大元の声がきこえて梨乃たちの意識が急浮上する。

目を開けても真っ暗で、咄嗟にアイマスクへ手を伸ばす。




「アイマスクを取るのは建物の中に入ってからです」




大元の刺すような声が聞こえてきて梨乃は手を止めた。

このまま建物の中に入るなんて大丈夫だろうか?

眠ってしまったから時間の感覚もわからなくなているし、どこをどう走ってきたかもわからない。

戸惑っている間に後部座席が開く音がして、外の空気を感じた。



車内は適温に調節されていたけれど、外からはムッとした熱気を感じる。

肌を焼くような日差しはさっきよりも強くなっているみたいだ。

大元に手をひかれてそろそろと車を降りる。

アイマスクの下からでもわかるくらい、周囲が眩しい。

太陽は真上くらいに来ているのかもしれない。

やがて3人共無事に車から降りて、それから先は手をつないでゆっくりと歩いて行った。