ゾンビゲーム 〜生死をかけて脱出せよ!〜

「梨乃、梨乃!?」




済んできれいな水の中で、梨乃がもがき苦しんでいるのが見える。

ゾンビが梨乃の足首を掴んで離さないのだ。




「文秋!」




咄嗟に文秋の名前を呼ぶが、文秋は(8)の鍵穴を開けたところだった。

文秋にはまだやることが残っている。

梨乃を助けることができるのは自分だけだ。

春美は青ざめながらも大きく息を吸い込むと、勢いをつけて水に飛び込んだ。

水は春美のお腹や胸を圧迫してきて、それだけでパニックになってしまいそうになる。

右手にギュッと燭台を握りしめて、春美はゾンビの背後へと回った。

ゾンビは目の前の梨乃に夢中になっていて、後ろにいる春美には気が付かない。

水の中で燭台を振り上げる。



浮力のせいで力は半減するけれど、モタモタしている暇はなかった。

春美は力の限り燭台をゾンビの頭部に振り下ろす。

1度できかないなら、何度でも。

梨乃の足首から手を離すまで続ける。

ゾンビは青い血を水面に撒き散らし、春美へ視線を向けた。

その目は釣り上がり、怒りをたたえているのがわかった。

視線がぶつかった瞬間春美の背筋がスッと寒くなる。