通路から部屋へ降り立った時後方で勝手にドアが閉まり、施錠された。

目の前に広がる部屋は山小屋のような様子を醸し出していた。

全体的に焦げ茶色をしていて、暖炉や重厚感のある重たそうなテーブルが置かれている。

壁は大きな木を組んで作られたものだし、天井も骨組みがむき出しになっている。




「素敵な部屋」




春美がポツリとつぶやいた。

こんな状況じゃなければ憧れの家なんだろう。




「まるでバンガローみたいだな。確かに、憧れる」




文秋は慎重に足を進めて答える。

部屋の中は木の香りがして少しだけ心が落ち着いていくのがわかる。

今まで緊張感で満ちていたけれど、この部屋の落ち着いた雰囲気がその緊張感を緩めていく。