「次の部屋だ」




先頭を歩いていた文秋が足を止めて言った。

横から覗き込んでみると、通路の終わりが見えた。

そのドアを開ければ最後の、第5の部屋に出ることになる。

梨乃は自然と唾を飲み込んでいた。

緊張と恐怖と、もうすぐ終わるという安堵感が湧き上がる。




「ドアを開けるぞ」




文秋の言葉に春美が頷く。

梨乃も同じように頷いて見せた。

ここまで来たら、もう覚悟はできている。

文秋はふたりの返事をまって、目の前のドアを押し開けた……。