運命の恋の始まりは……

「結局、高校生になってもいつものクリスマスかあ」

 思い返せば、私たちは毎年、どちらかの家で何かしらしていた気がする。

 ケーキを作ったり、プレゼントを交換したり。

 今年はそれすら危うかったし、特別なことがなくたって、いつものクリスマスが過ごせればそれでいいのかもしれない。

「……そうだな」

 冬馬が、少し間を開けて言った。

 なんだか少し不満げな声な気がしたけど、気のせいかな?

 ……ああ、そっか。

 そういえば、去年のこの日、私たちは二人で受験勉強をしながら――冬馬はほぼ推薦が決まっていたけれど――来年は彼女と過ごすんだーなんて言ってたんだっけ。

「クリスマスは、彼女と過ごすつもりだったもんね~。この様子だと、できなかったってことでしょ?」

「うるせーな。美雪こそ、彼氏作るんじゃなかったのかよ」

「うっ……」

 くぅっ、自分に返ってきた……!

 彼氏なし・彼女なしの二人でそんな不毛なやりとりをしながら、私たちはきーこきーことブランコを揺らす。

 でも、こんなふうに軽口で言い合えるのも冬馬だけだから、久しぶりで楽しくもあるんだよね。

「つーかおれ、高校ではめっちゃモテてるんだぜ?」

「うっそぉ。じゃあ、なんで彼女いないのよ」

「おれにはもう……、彼女にしたいやつがいるからな」

 え、冬馬って好きな子いたんだ。

 私には関係のないこと……のはずなのに。

 なぜが胸がチクッと痛んだ。