運命の恋の始まりは……

「おれ、ちょっと自販機行ってくるわ」

 公園に着くなり、そう言って反対の入り口に駆けていく冬馬。

 この公園、小学生の頃に二人でよく遊んだよね。

 懐かしいなーと思いながら、昔よく乗ったブランコに腰かけた。

 見上げた空はもう暗くなっていて、ところどころで星がまたたいていた。

「美雪ー!」

 冬馬の声ではじかれたようにそっちを向いた私は、放られた何かをあわててキャッチした。

 それは、私がよく飲んでいた缶のお汁粉だった。

「それ、好きだったろ?」

「わあ、覚えてたんだね! ありがとう」

 私は缶を両手で持って、いつの間にか冷え切っていた手を温める。

 冬馬は、シャランとさびた鎖の音をさせて、隣のブランコに座った。