そのあと、明日の朝食用のパンを買いに百貨店に行った。 一階の化粧品売り場を通っているとき、 「あ、そうだ」 とあやめは思い出す。 「今日、お誕生日のお知らせが入ってたんだ。 おめでとうって送っておかないと」 「便利な世の中になったな」 確かに。 最近は、SNSが誕生日を教えてくれるので、うっかり祝いそびれるということもない。 壁際で立ち止まり、スマホを開けていると、村正が訊いてきた。 「誰の誕生日なんだ?」