何度でもキミに恋をする(旧題:もう一度キミと青春を)

「でも戻れなかった。逃げることに精一杯で、花純のことは諦めた。それどころじゃない、って」


蒼空の言葉は芯があって震えてはいない。


むしろ、私を安心させようとしてくれている。


蒼空の方が苦しい思いをしているのに。


「何も言わずにあの村から去ってごめん。連絡一つぐらいすればよかったのに、気が回らなかった。そのせいで何年もツラい思いをさせてごめんな」


「謝らないで…。蒼空は何も悪くない」


悪いのはあの父親。


蒼空は逃げるしかなかった。


地獄のような現実から目を背けるしかなかった。


「私なんかのことを気にかけてくれてありがとね」


それどころじゃないはずなのに。


目を覚まして一番に抱きしめてくれて、あのひの続きを見させてくれた。


「大好きだよ蒼空」


「俺も大好きだよ。大好きだから、花純“なんか”って言い方は嫌。もう言わないで」


「ごめん、癖で…」


親からそんなふうに言われて育った癖が抜けない。


「花純の家庭環境も過去も全部思い出したよ。これからは俺が守るから」


そっと頭を撫でてくれる蒼空。


その手のぬくもりが懐かしい。


「日和のことも思い出した」


蒼空の口調はハッキリしている。