何度でもキミに恋をする(旧題:もう一度キミと青春を)

あの高台へ向かう。


私だけが幸せな思い出を持っている場所。


蒼空にとっては幸せでもなんでもなかったんだと、あとになって知った。


あの夜の涙が忘れられない。


蒼空はどんな思いであのあと自宅へ戻ったんだろう。


「……着いた」


高台の真下に着いた頃には、蒼空からも緊張が伝わってくるほどだった。


本能的に何かを感じ取っているのかもしれない。


「…上、上がる?やめとく?」


蒼空の額にはジンワリ汗が滲んでいる。


暑さだけではない。


顔がかすかに引き攣っている。


「……ここまで来て引き返したくない」


でも、足は一段目にかかったまま動かない。


「無理しなくていいんだよ…?」


「いや、行く」


力強い表情に戻り、階段を一段一段上っていく。


高台に上りきった蒼空は、遠くへ広がる海を見下ろし、ふっと笑みを漏らした。