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「よし。じゃあ行こっか」
玄関でおじいちゃんおばあちゃんに見送られながら、ふたり手を繋いで秘密の滝へ向かう。
前は自転車で行っていたけど、今は自転車がないからしかたない。
「ちょっと遠いけど、いいよね」
「うん。花純と話したいことはいっぱいあるから」
にっこり微笑む蒼空は、私が大好きだった蒼空と同じ顔をしている。
「今から行く場所って、俺らが出逢った場所?」
「ううん。出逢ったのはあの無人駅だよ」
「そっか。じゃあ今から行くところって、どういう想い出がある場所なの?」
秘密の滝の想い出は語り尽くせないほどある。
私を救ってくれた場所であり、ふたりの距離が縮んだ場所でもあり、蒼空の心の闇に触れた場所…。
「…ふたりの心が繋がった場所…かな」
「心が繋がった場所…」
「うん。それと、私が蒼空に救われた場所」
“俺がどんだけ心配したと思ってんの花純はわかってない。自分がどれだけ愛されてるか、仲間として認められてるか、大切に思われてるか。何もわかってない”
“俺らは花純のことを大切な仲間だと思ってるから”
“花純は一人じゃない”
蒼空が初めて私に怒った場所。
そして、私という存在を認めてくれた場所。
「私…蒼空と出会ってなかったら、生きてなかったかもしれないなってたまに思うんだよね」


