何度でもキミに恋をする(旧題:もう一度キミと青春を)

「もしもし…」


客席を離れ、人の少ないロビーに移動する。


『花純?俺、律だけど』


2年ぶりに聞く律の声は、あの頃より少し低くなっていた。


「久しぶりだね」


『花純、落ち着いて聞いてくれ』


律の言葉からは隠しきれない興奮を感じる。


『蒼空が帰ってきた』


脳天を撃ち抜かれたような衝撃が全身を駆け巡る。


「今、なんて」


『蒼空が帰ってきたんだって!今、森下さん家にいる!』


嘘だ。


ありえない。


どうやってあの村のことを知ったの?


まさか記憶が戻ったの?


『駅の近く歩いてたら、久々に金髪に出くわしてさ!気になって近づいてみたら、蒼空だったんだ!』


蒼空があの村に…。


大変なことになってしまった。


スマホを持つ手が震える。


自力では立っていられなくて壁にもたれかかる。


『おーい、聞いてっかー?花純??』


律の声が遠のいていく。


蒼空が村に戻った…。


記憶が戻ったのか、戻すために村へ行ったのか、それはわからない。


だけど、確かなことはただ一つ。


蒼空が危険だ。


このままじゃ、蒼空が…。


『花純!おーい!聞こえてる?』


律の大きな声でハッと我にかえる。


「今すぐ向かう!蒼空の様子を教えて!」