…まぁ…息の詰まる都会よりはいいか…。


スゥーーーっと大きく息を吸えば、ひんやり澄んだ空気が肺いっぱいに広がる。


「ふぅーーーー」


気持ちいい。


空気が美味しいって、こういうことなんだ。


4月にしては少し暑いけど、とても気持ちがいい。


こんな気分は久々かもしれない。


「おーい！そんなとこにいると危ねーぞー！」


頭上から大きな声が聞こえてきて、辺りを見回すと、さっきまで私がいた駅のあたりに金髪の人が鉄柵から身を乗り出して叫んでいた。


「ここ、危ないのー？」


「もうすぐ波が荒れるー！」


こんなに穏やかなのに…？


不思議に思いながらも、来た道を辿って駅まで戻る。


白っぽい金色の髪をした彼と目があった。


うわぁぁ……。


なんて美しい人なんだろう。


今までに出会った誰よりも美しくて、この田舎からは浮いているようだった。