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気がついたら試合が始まっていた。
舜くんのことを、チームのことを、心から応援しているはずなのに、頭の中にモヤがかかっている。
ボールが先輩から舜くんの手に渡る。
その手から放物線を描いてリングに吸い込まれるボール。
沸き立つ観客、黄色い歓声をあげる周囲の女子。
ブーーーーー
いつの間にか試合終了の合図が鳴り響いた。
舜くんの表情はニコやかで、危なげなく試合が終わったのだと知った。
「ちょっと、花純。寝てたの?」
「ううん、起きてたよ」
「ちゃんと見てた?」
「…うん」
「赤嶺がシュートを決めた回数は?」
奏が呆れたように私を問い詰める。
奏にはすべてお見通しなんだろうな。
「…1回」
「ったく…。5本は決めてたよ」
…頭がずっとぼんやりしている。
試合を楽しみにしていたはずなのに、別のことばかり考えてしまう。


