何度でもキミに恋をする(旧題:もう一度キミと青春を)

「……その顔。最近ずーっとその鬱々とした顔してるよね」


「…そうかな」


「そうだよ。…ここから先はわたしの独り言なんだけど」


奏はそう前置きし、アリーナでアップをする選手たちを眺めながら続けた。


「私、思うんだよね。赤嶺には、その顔を笑顔に変える力はないんだろうなって。花純を笑顔にできるのは桐谷くんだけなんだろうなってさ」


「…そんなことないって」


「花純には桐谷くんが必要なんじゃないかな」


……ちがう。


違う。違う。違う。


私は私の人生を生きるんだ。


蒼空とは切り離した、別の人生を歩むんだ。


私の人生にもう“茅野蒼空”も“桐谷蒼空”も必要ない。


「ま、独り言だからさ」


奏はそう言って微笑んだ。


私に彼が必要ないのと同じように、いや、それ以上に、彼の人生に私が必要ないんだ。


むしろ、存在してはいけない。


それがすべてだ。