何度でもキミに恋をする(旧題:もう一度キミと青春を)

「…紬は、もう蒼空のことは諦める。森下さんには勝てない。だから、蒼空のことを守る役目は森下さんに引き継ぐ」


真っ直ぐな瞳で見つめられる。


真中さんは昔から変わっていない。


真っ直ぐすぎるくらいに真っ直ぐだ。 


「ほんとはね、あわよくばこのまま蒼空を私のものにできたらいいなって思ってた。蒼空の記憶喪失を利用したのは事実。本当にごめんなさい」


きっと、蒼空を守りたい気持ちに嘘はない。


こうして正直に話して謝ってくれた。


これ以上私が真中さんに求めることはなにもないし、彼女たちを尊重しない理由もない。


「村に行くのはやめます」


私たちの幸せだった過去なんて、思い出してもらえなくてもいい。


ただ蒼空の心の平穏を守れたらそれでいい。


「蒼空とはこのまま関わり続けるの?」


「…わかりません。関わるべきじゃないことは理解してます。でも、行動に移せる自信がない」


やっと蒼空が心を開いてくれた。


そんなタイミングで関わるのをやめることなんて、簡単にはできない…。


いくら蒼空のためだとしても、何もかも捨てて他人として生きていくことなんてできない。


自分勝手な私。


「蒼空の記憶が戻ったらどうなると思う?」


「…そうだよね。そのことを考えると、自分の感情なんて無視すべきなんだよね。わかってるよ、私だって」


わかってるけど、苦しい。


もう一度あの頃みたいな関係に戻れるかもって、期待してしまったから…。


もう戻れない。


あの頃のようにはなれない。


「花純ちゃん。お願い。蒼空を守って…」


あの頃の私は、蒼空を守れなかった。


でも今の私なら。


「…今度こそ、守ります」