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それから1年。
蒼空は記憶を取り戻すことなく、高校2年生になった。
この1年、彼女として紬ちゃんがずっとサポートしてくれていた。
1年前まで能面のようだった表情も、紬ちゃんの前では笑えるようになった。
記憶がない以外は、普通に社会生活を送れるようにもなった。
そして、蒼空の希望で通信制から、普通科の高校に編入した。
それが、まさか花純ちゃんと再会するだなんて。
運命のイタズラだ。
「千花さん、今日、森下花純っていう人に声かけられたんだけど、俺、知り合いだったのかな。なんかすごい仲良かったっぽい空気だった。でも、なんか…嫌な感じがした」
「嫌な感じって?」
「わからない。なんとなく嫌な気持ちになっただけ」
嫌な気持ち…。
花純ちゃんが、あの村との記憶に密接に結びついているからかもしれない。
だからなんとなく嫌な気持ちに…。
あんなに仲良かったのに、二人はもう昔みたいには戻れない。
戻すわけにもいかない。


