ザワザワ…ザワザワ…


人々の話し声、走り回る音。


声変わり途中の男子特有の声、甲高い女子の笑い声。


「……っ」


やっぱり無理だ。


校舎に入ろうとすると、足がすくむ。


「大丈夫?無理しなくてもいいんだよ」


初日だけはおばあちゃんに付き添いで来てもらったから、今ここで引き返すなんていう迷惑はかけられない。


車で片道15分も送ってもらって、結局行かないなんてことはできない。


頑張らなきゃ。


「おーい!花純ー!」


校門の方から明るい声が届いて振り返ると、ショートカットの女子と肩を並べて歩く蒼空が手を振ってくれていた。


「森下のばあちゃん久しぶり〜」


蒼空はおばあちゃんとも仲良いんだ。


さすがのコミュ力だなぁ…。