幸せな時間はあっという間に過ぎていく。
昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴り響いた。
「明日も一緒にお昼ごはん食べたい」
教室に戻る廊下で、蒼空に伝える。
今度は、目を見て真っ直ぐに。
「うん。明日は食堂にしよっか。暑いし焼けるの嫌でしょ」
「そういうの蒼空っぽい〜!」
「ならよかった」
私の反応に満足したのか、にっこり笑ってくれた。
「あ、そうだ。昨日紬と正式に別れた」
「えっ!?」
そんな大事なこと今言う!?
「もともとあんまり付き合ってる感じもしてなかったけど。ちゃんと紬とは付き合えないって伝えてきた」
「それは嬉しいんだけど、もっと早く教えてよっ」
「なんか…タイミングなかったし。報告すべきなのかもわかんなかったし」
困ったように眉を下げ、頭を掻く。
「真中さん、なんて言って―」
「おーーい、お前ら早く教室戻れよー」
すごく大事なところなのに、先生邪魔しないでよぉー…。
もうすぐ授業始まるから、詳しく聞けないじゃん…。
明日へお預けかぁ…。
「またあとで詳しく教えてね」
「うん。でも今日は俺早く帰らないといけないから」
「明日、聞かせてね」
「うん」
蒼空がやっと蒼空らしさを取り戻し始めている。
紬は恋愛対象じゃないって言い切って安心させてくれた過去を思い出す。
蒼空は一度も真中さんを恋愛対象にしていない。
今回だってそう。
偽物の恋人ごっこなんて、すぐに終わりが来るんだ。


