何度でもキミに恋をする(旧題:もう一度キミと青春を)

「…中学の頃の俺はこうじゃなかったんだ?」


「うん。むしろ逆だった」


「そっか。今の俺は、自分がどこの誰だかも分からないし、記憶喪失のことは誰にも話してないから、人と深く関わるのが怖い。中学の頃何してた?とか、友だちなら話題になるじゃん。それを避けたいから、人そのものを避けてる」


自分が誰だか分からない…。


蒼空にしてみれば、ある日突然高校生になったってことだもんね。


自分らしさも、自分とは何かも、何も分からない。


そんな不確かで不安定ななかで1年以上生きてるって、想像を絶する苦労があるんだろうな…。


「転校してくる前はどうしてたの?」


「通信制の高校で勉強してた。けど、やっぱり普通の学校に通いたいって思ったから、転校することにした」


「そうだったんだ…」


空白の2年間が少しずつ埋まっていく。


私の知らないところで蒼空は生きていて、壮絶な苦労を重ねていた。


私は、蒼空の所在を探そうともせず、忘れることに徹した。


もし、必死に探していれば。


真中さんより先に蒼空にたどり着いていれば。


こんな未来は待っていなかったかもしれない。


真中さんに蒼空を奪われることもなかったかもしれない。