何度でもキミに恋をする(旧題:もう一度キミと青春を)

蒼空がくれた言葉、いつまでも忘れないよ。


【何も覚えてないのが悔しい】


【いつか思い出せるよ。私が蒼空の記憶を取り戻す】


【ありがとう。俺、自分のこと調べてみようかな。生い立ちとか、親のこととか】


親のこと…か。


それは調べない方がいいかもしれない。


思い出さない方がいい記憶だってある。


【無理して思い出すとまた倒れるかもしれないでしょ?やめといたほうがいいんじゃない?】


【自分のルーツが何も分からないって、けっこう怖いんだよ。紬が本当に俺の幼馴染で彼女なのか?とか、花純は何者なのか?とか、千花さんが親戚なのも嘘なんじゃないか?とか。疑い始めたらキリがない。でも、信用する根拠もない。俺には何もないから】


最後の一言が胸に突き刺さる。


“俺にはなにもない”か…。


幼少期から当たり前に続いている過去がなくて、ある日突然高校生の自分を認識した。


周りの人は自分の過去を知っていて、あれこれ言ってくるけど、本当かどうか確かめようがない。


想像もできないような不安が常に蒼空にはあって、今もずっと戦っている。


力になりたい。


蒼空が記憶を取り戻したいのなら、私は全力でサポートする。


でも…、虐待のことは…。


忘れられるなら忘れるに越したことはない。


思い出させるのは気が引ける。


【紬と千花さんのことだけは信じるって決めてこの1年生きてきたけど、今はそれが揺らいでる。俺は俺自身を取り戻したい】


【思い出したくないないことも思い出しちゃうかもしれないよ?いいの?】


【それも含めて俺だから】