何度でもキミに恋をする(旧題:もう一度キミと青春を)

蒼空の笑顔がチラつく。


蒼空と話したい。


秘密の滝に行きたい。


自然に囲まれた穏やかな場所で、穏やかな人と、穏やかな時を過ごしたい。


またあの場所に戻れるんだろうか。


蒼空と一緒に、帰れるんだろか。


「…やめよ」


今日はもういいや。


シャーペンを放り出してベッドへ横たわる。


ベッド横の引き出しを開けると、蒼空との思い出の品が眠っている。


祭りの日のツーショット写真や、おそろいのキーホルダー。


ペアリングに、プリクラ、体育祭で交換したハチマキ、一緒に見た映画のチケット。


蒼空からの最後のプレゼントは、なんてことのない折り鶴。


まさかこれが最後になるなんて思ってもいなかったから、雑に保管していたせいで羽根やくちばしはひん曲がっている。


“暇すぎて問題用紙で折った!”


数学のテストがまるで分からず暇だったから、とテスト終了後に私にくれた。


あの時のお茶目な笑顔、また見たいよ…。


“花純は賢いなぁ。よく解けるね、こんな難問”


テストがある度にそう言って褒めてくれたな。


勉強を教えるようになって、蒼空の成績が上がったときは自分のことのように嬉しかった。


そして、思ったんだ。


あぁ、蒼空は勉強できる環境さえあれば、すごく頭の良い人になれるんだろうなって。


蒼空の家庭環境を恨んだ。


どうして蒼空を苦しめるんだ、って。


あの父親は今どうしているんだろう。


日和ちゃんも元気に過ごしているのかな。


蒼空と一緒に保護されて、学校に通えていたらいいな。