高校生になり周りに僕を知っている者はいなくなった。

僕の進学した高校には、僕と同じ中学の人間がいなかったからだ。

あの日以来、僕は自分の顔が好きではなくなった。
ハリボテだけが褒められて、誰も僕を見てはいない。

中学で学んだ、口数は少なく、前髪で目元を隠し、黒縁眼鏡、これは鉄則。

高校生活は3年間、静かに過ごしていくと決めていた。


その甲斐あって、1年生は何事もなく終わった。2年生になり、後輩と呼べる新入生が入学してきた。

高校生になっても学年での成績トップをキープしていた僕は、全校生徒の集会で表彰されることが多々あり、他の学年の生徒にも名前や顔が晒される機会が多かった。

だからだと思う。廊下を歩いているとときどき聞こえてくる声。