『なにその暗い見た目。かっこよくないなら柾の彼女でいる意味ないから別れて』
要するに、彼女にとって僕はアクセサリーだったということだ。自分をよく見せるための、みんなに羨ましがられるための、飾り。
別れてくれて、せいせいした。そもそも付き合ってないのだけど。
それと同時にとても残念な気持ちにもなった。
女の子にとって僕は顔のいい“ただの飾り”だということ。
なんだっけ?
いまの口数が少ない僕は“クールな空野”だっけ。
前髪で目元を隠したいまの僕は“根暗男”って言ってたな。
クールな空野と根暗男が混ざったら、なにになるんだろ?
この日を境に、僕は必要以上に会話はせず、前髪で目元を隠し、駄目押しで黒縁眼鏡(ダテ)をかけて学校生活を送るようになった。