「あの、えーと、だから、その、補習に来ているのに原田くんと話してばかりでは、勉強にならないので………って、そうじゃなくて!」



言い淀んでいる先輩なんて、珍しい。なにが違うんだろう。前髪の隙間から先輩の表情を伺う。



「桃さんと原田くんが仲良くしてるのを、見ると、モヤモヤしてしまうので……ひとりで来ていただけたら、嬉しい……です……」

「え、」

「あなたが、他の男性と仲がいいところは……あまり見たくないです……すみません……」

「……いえ、すみません」



なんだ、これ?むずむずする。てか、顔が熱い。先輩それはいったい、どういう意味ですか……?









「先輩、こんにちは!」

「桃さん、こんにちは
(今日も桃さんは、可愛らしい)」

「今日もよろしくお願いします!」

「……?
(ん?誰だ?桃さんの後ろにいる男は……?)」

「あの先輩、今日はクラスメイトの蒼くんも一緒に補習を受けさせていただいてもいいですか?」

「原田 蒼です!空野先輩よろしくお願いします!」

「…………はい。よろしくお願いします。
(え、誰!?君はいったい桃さんのなに?なんだ?え!?)

「先輩、すみません急に連れてきてしまって」

「とんでもないです。桃さんの頼みでしたら
(あー、桃さんの頼みなら仕方ない!仕方ない!仕方ないない!)」

「ありがとうございます!」



「あなたが、他の男性と仲がいいところは……あまり見たくないです……すみません……」







(やばい、うかうかしていられない。桃さんが、あのイケメンに取られてしまう)