「蒼くんとは同じクラスなんですけど、彼いつも私のポニーテールで遊ぶんですよ、ははは、困ってまして……」
「桃さん、」
「はい」
「明日はひとりで来てください」
「え、」
突然口を開いた先輩は淡々と言葉を落とす。口元しか見えないから表情が分からない。でももしかして、怒ってる……?
あの柾先輩を怒らせてしまった……?
でもなんで、私ひとりで喋りすぎた……?
あ、先輩の話聞いてないから……!?
「先輩……?」
「……」
「……先輩あの、すみません、…………」
「あ、いえ、あの、えーと、その……違うんです……」
消え入りそうな先輩の声が鼓膜を叩く。いつもの淡々とした話し方とは少し違う。焦るような、震えるような声音。