私のテントの外は、ざわざわと騒がしかった。エセルバードの様子がおかしいのは、誰だってわかるはずだし、落ち着くのに苦労しているのかもしれない。

「……聖女様。僕は彼の罪を、自分が引き受けることに決めました。それが、あの時に一番良い選択肢だと考えたからです」

 言葉を選んだ様子のジュリアスは、いつの間にか伏せていた顔を上げて私を見ていた。

「エセルバードが殺してしまったんですね……けど、どうしてそんなことに?」

 どうしてエセルバードがしてしまった殺人なのに、ジュリアスが犯人になることになったの……?

 いくら一国の王の命令だとしても、息子の殺人をそんな方法で隠蔽するなんて普通なら考えられない。

「僕はもう結婚する気がその時に既になかったんです。だから……爵位なども弟に譲りました。エセルバード殿下の子は、もうすぐ産まれようとしていました」

 庶民を孕ませたって、言ってたものね。最低でしかないけど。

「あの……エセルバードは、何歳のお話ですか?」

「十四の時のことです。まだ、殿下も子どもと言える年齢でした」