「何が息子だ。お前は絶対にジュリアス本人だ! それとて、うるさいジュリアスそのままの言葉ではないか」

 いつも叱られているから、説教の言葉をわかっているんだ……なんだか、もの悲しい。

「いいえ。違いますと言っているのが、これだけ言っても理解できないのですか」

「うるさい! 黙れ黙れ! お前のやりたい事は、もうわかっているぞ! 俺がその世にも珍しい能力を持つ聖女を奪うと思ったんだろう。人が若返る祝福など、これまでに聞いたことがない! ……誰もが欲しがるさ。お前や俺以外にも世界中の人間がな!」

 もしかしたらだけど……能力を知ったジュリアスがこうなることを予見して、先んじてこんな風に聖女の祝福を利用しようとするエセルバードから、私を守ってくれたのかもしれない。

 自分が怪我をしたから、唇を許せって言って来る人は……もしかしたら、居るかも知れないけど、騎士団の皆さんは皆優しい。

 私が嫌だと言えば、きっと無理強いはしないはずだ。