流石年の功というのか、初対面を装いつつも自己紹介と挨拶をしていて対応は感じ良くてすごく好感度高そう。

「え……汚れてしまった、英雄? どういうこと」

「誰かから、何か聞きましたか」

 なんとなくの独り言に頭の上から返事があって驚き過ぎた私は、心臓が口から飛び出るかと思った。

「わ! ハミルトンさん……びっくりしました。いえ……さっき、そういう噂している人が居て」

 私が言葉の先を濁すと、副団長……というか、団長代理になった彼は、はあっと大きなため息をついた。

「実は……団長は城中で神殿に仕える司祭を切り殺したことがあります。ですが、その時点で団長は二回世界を救っています。ですから、陛下は特別に恩赦を与え、その罪は不問になったんです……」

「え? あのジュリアスが? 嘘でしょう。信じられない……」

 ジュリアスは沈着冷静で、私は彼が怒ったところを見たことがない。エセルバードを叱りつけている時は流石に厳しい態度を見せることはあるけど、それ以外は理知的で温厚だ。

 彼が城の中で強い怒りをもって人を切り殺してしまうなんて、とても想像つかない。