「今の言葉は、僕は聞かなかったことにします。あれでも、一応仕える王国の王族ですので」

「すみません。ありがとうございます……」

 それはそうだ。私にとっては馬鹿王子でも、ジュリアスにとっては大事な王子様だもんね。別名、厄介で高貴なお荷物だけど。

「聖女様。それでは申し訳ないが、ここに副団長のハミルトンを呼んで来てもらえますか。既に聖女召喚の時を終え、魔物復活までに時間があまりない。僕らと彼のみ知る突発的な事態は起こりましたが、このまま旅は続行せざるを得ません。騎士団を率いる団長職は、彼に任せることになりますので」

 真剣な眼差しで紡がれる言葉に、私はぽーっと見惚れていたんだけど、ジュリアスが「あれ?」と言わんばかりに首を傾げたから、彼から副団長を呼んで来いと言われていたことをここでようやく認識した。

 私、悪くないよ。

 真剣に喋っているだけなのにも関わらずジュリアスが、思わず見惚れてしまうくらい格好良いのが悪いんだよ!

「わっ……わかりました!」

 普通の大学生にはイケメン騎士様は、刺激が強いんだからね!