私。本来なら無関係で別世界から来ているけど、こんなに暢気で大丈夫かなって、なんだか不安になっちゃうよ?

「……聖女様。こちらにおられましたか」

「あっ……はい。副団長。ごめんなさい。少し風に当たろうと思っただけなんですけど」

 私を探してくれていた様子の背の高い彼を見上げて、頭を下げて謝った。

 短い銀髪に切れ長の灰色の瞳色味が少なく、どこか冷たそうに見える副団長はハミルトン・アートルムさん。この人は団長が若い頃からの腹心らしいんだけど、無表情が基本なので何を考えているかいまいちわかりにくい。今だってそうだ。

「いいえ。お気になさらず……テントの中は通気性も悪くあまり快適な場所とは言えませんから、聖女様のお気持ちはわかりますよ」

 副団長の素っ気ない口調ながらも、優しい言葉に私はほっとした。

 団長の人柄が良いせいか、彼の部下の人たちも気持ちに余裕が見られるし、騎士団の彼らは総じて親切だ。

 別に何かを苦労したいって訳でもないんだけど、こんなに楽勝な救世の旅で……本当に良いのかな?

 ……あ。けど、そんな中でも、一人だけ嫌な奴が居たわ。