……っていうか、もしかしてエセルバードって、私のこと好きなのかも。

 精神的に未熟な男性って、好きな子を大事にするより虐めがちだし……だとしても、何も嬉しくはないし寒イボが出てくるから、これを突き詰めて考えるの止めとこう。

「エセルバード様……異世界より我らの勝手で喚びだした聖女さまに、なんという口の利き方ですか。いい加減になさいませ!」

 張りのある大きな抗議の声がして、私は来てくれた! と、嬉しくなって背後を振り向いた。

 そこに居たのはもちろん、とても頼りになる騎士団長ジュリアス・アルジェント様。あー、今日も本当に素敵だわ。

 アルジェント団長はそれなりに年齢は経ているものの神殿で聞いていた前情報通り、彼だけ強さが突出していた。

 だから、あの団長さえ居れば最終的に強い魔物を倒すとは言え、危険もほぼなく安全ですよと言っていた神官さんたちの言葉は合っていたのだ。

「なんだ……ジュリアスか。お前は本当に口うるさいな。あーっ……うるさいうるさい。俺はもう、先に行く」