わかりやすく言うと、創業者一族で逆らえない代表取締役社長国王の息子、エセルバードの面倒を見る管理職騎士団長ジュリアス。

 しかも、次のプロジェクトで名前を売るために嘘でも良いから活躍させてやってくれと言われ、断れない管理職。

 なんて酷い話なの。そもそも不祥事だって、もみ消して貰っているのに。

 ジュリアスの言うとおりだった。世界が変わっても、悲劇の原因は大体変わらない。

 だって、本来ならこの旅は世界救済が目的で、それが失敗するかもしれない可能性は先んじて何もかも排除されるべきだった。

 これまで三桁の回数も上手くいき、そして三回も救済を無事に終わらせてくれたジュリアスへの王の信頼は、揺るぎなくとても厚かったものと思われる。

 だからって、あまりにも余裕を見せ過ぎでしょ! このままだと、世界が滅ぶんだよ!?

 出来が悪くてだからこそ余計に可愛い息子だからって、これは甘やかして良い場面じゃなかったと思うの!

「……ちょっと! エセルバード!! その剣の柄、渡して!! 早く!! 渡して! その剣を、元に戻すから!!」