うん。多分だけど、あの指輪の護りが効いてしまって……しまってという言い方もおかしいけど、聖剣が折れてしまったみたい。

 私だってそんな馬鹿なことを仕出かしたエセルバードに何か掛ける言葉もないし、多分周囲の人だってそうだと思う。

 お付きの人なんて、戸惑った様子で助けようともしていない。エセルバードのお世話はれっきとした彼らの仕事なのに、こんな状況で無関係を装おうとしてか腰が引けちゃってるよ。

 もうっ……もう! 本当にもう! 誰が聖剣で主に世界を救ってくれる、ジュリアスに斬りかかると思うのよ! 馬鹿なんじゃないの!

 ううん。エセルバードは元々そういう自分勝手な人だった……そう、私たち……これが起こるかもしれないという可能性だって、事前にわかっていた。

 けど、彼にそうさせるしかないことになっていた。

 国王という雲の上の存在から、彼の活躍させて欲しいとお願いされてしまうと、逆らえる訳がないかった。

 多分、私の居た元の世界でも、こういう悲劇は良く起こっていそう。