「聖女様は僕の一番大事な人です。彼女への侮辱は僕への侮辱と取り、貴方に戦いを挑みましょう……すべて、終わってからになりますが」

 騎士団の皆さんの動きを見てこんな奴と言い合いしている場合ではないと、ジュリアスは素早くその場を離れた。

 私はようやくエセルバードが大人しくなって、ほっと安心していた。

 エセルバードは今まで我慢に我慢を重ねていたと思われるジュリアスが、あんなに風に怒鳴ったことがよほどショックだったのか黙り込んだまま目に見えてガタガタ身体を震わせていた。

「ちょっと……そこ危険だから、こっちに来た方が」

「うるさい! うるさいうるさい!」

 エセルバードはそう叫ぶと、気が触れたように走ってジュリアスの背中へと斬りかかった。

 ……え。嘘でしょう。