「どうしたの? 火花ちゃん」
「みんなにね、渡したいものがあるんだ」
「渡したいもの?」
 私はごそごそとバッグを漁る。
「これ、あげる」
 バッグから取り出したのは、小さな原石。
 グラアナからもらった星の原石を魔法で四つに砕いたものだ。
 もらったとき、これは四人で分けようと思ってたんだ。
「え、でもこれ……火花ちゃんがもらったのに、いいの?」
「うん。みんながいなかったら、私ひとりじゃなにもできなかったしね。もらってくれる?」
「……もちろん!」
「……ありがとう、火花。大切にするわ」
 ダリアンは嬉しそうに受け取った。
「私、宝物にする!」
 ドロシーが言う。
「部屋に飾る?」
「でも、それもなんか勿体ない気がするなぁ」
「それなら、ネックレスにしたらどうかしら?」
「いいね!」
「それなら私に任せて!」
 ダリアンがステッキを取り出し、パッと振った。
「ロジカル・マジカル! 星の原石よ、美しいジュエルのネックレスになれっ!」
 きらきら星屑に包まれた星の原石は、それぞれカラフルな色の宝石のネックレスに変化した。
 ノアくんのネックレスはみずみずしいアクアマリンに、ダリアンのネックレスは大人っぽいヴァイオレットサファイア、ドロシーのネックレスは透き通ったペリドット。
 そして、私のネックレスは――。
「わぁっ! 可愛い!」
 可愛らしいピンクダイヤモンドのネックレスに変わった。
「すごいよ、ダリアン! 私これ、毎日つける!」
「あぁ。このネックレスなら魔力もあるし、お守り代わりにもなる。ありがとう、ダリアン」
「えへへ。四人でおそろいだね」
「おそろい……」
 ダリアンはドロシーの「おそろい」という言葉に、嬉しそうに微笑んだ。
「じゃあ、また食堂でね!」
「火花。今日は大人しく部屋で課題でもやってなさいよ」
「う。分かってるよ!」
 ダリアンってばもう、相変わらず意地悪なんだから。
「大丈夫だよ。火花のことは、俺が今まで以上にちゃんと監視しておくから」
「ノアくんまでひどい!」
「さて、行くか~」
 無視かいっ!
「あっ、ちょっと待ってよ~!」
 私はドロシーたちに手を振ると、慌てて歩き出したノアくんを追いかけた。