世界で一番好きな人

ふと、記憶がフラッシュバックされる。


茉莉花に別れを告げられ、このままじゃダメだと後を追いかけるとトラックが茉莉花めがけて来ていた。


茉莉花の名前を必死に呼ぶが、届かない。俺は咄嗟に茉莉花の腕を引っ張り転がった。



腕に猛烈な痛みが走り、朦朧とする頭で茉莉花に向かって手を伸ばしたが、届く前にそこで意識は途切れた。



「…茉莉花は!?」


「茉莉花…?ああ、一緒に運ばれてきた女の子のこと?その子なら頭を少し強く打ったみたいだけど命に別状はなくて、隣の部屋にいる…って、千瑛!?」



茉莉花。俺はちゃんと茉莉花を大切にするから。


もう、茉莉花しか見ないから。


俺にとってたった一人大事な人は茉莉花だけなんだ。だから…。



「…茉莉花!」



起き上がって看護師の人と話していた茉莉花が俺を見た。