世界で一番好きな人

「じゃあ手繋いで帰ってくれる…?」



千瑛はきょとんと目を丸くしてから、ぶっと吹き出した。



「あはは、いいよ。帰ろう」



千瑛が私の分の鞄まで持ってきてくれて、お礼を言って受け取る。



「茉莉花」



ふと、千瑛に名前を呼ばれ顔を上げると、ちゅっと軽いキスをされる。



「ちょ、また誰かに見られたらどうするの…!」


「あはは、もういいよ。どうせバレてんだから。俺には茉莉花がいればそれでいいの」



千瑛に手を取られ、恋人繋ぎをされる。


…ねえ千瑛。私も千瑛の隣をこうやって歩けたらそれでいいんだよ。