世界で一番好きな人

「…嘘だよ。そんな嫌そうにしなくたっていいでしょー!この薄情者が!」


「あ、いや、違くて。嫌とかじゃないんだけど…」



柊ちゃんがサプライズのつもりで帰ってきたなら、言えない。


でも、だからと言ってうまい言い訳も思いつかないし…。



「あー茉莉花はいいな…。好きな人と毎日一緒にいれて。私も柊について行けばよかったんだけど、こっちでやりたいこと見つけちゃったんだから、しょうがないじゃん。ついて行けるわけないでしょ…」


「瑚子…」



瑚子はいつもなんでもなさそうな顔をしているけど、本当はきっとすごく寂しいんだ。


当たり前だ。好きな人といつでも会える距離にいないんだから。


会いたい抱きしめたいと思っても、瑚子はそれすらもできない。



「…え?柊からだ…」



電話に出た瑚子の表情が、どんどん明るくなっていく。