世界で一番好きな人

「おい、やめろよおまえー」


「俺たちクリスマスなのに男二人で寂しかったんすよー。よかったら飯でも行きませーん?その後いいとこに…なんつってー」



ゲラゲラ笑う男の人に、軽蔑の眼差しを向ける。


何この人…。めんどくさいな…。



「いや、行かないわよ」


「なんでなんでー。いいじゃーん。そこのお姉さんも一緒に、ね?」


「あの、困ってるんでやめてください。それに梓さんの指輪見えないんですか?」


「あ?…ほんとだ、なんだよ人妻だったのかよー。…まあいいや、行こ行こ」


「ちょ、行こ行こって…!」



馴れ馴れしく梓さんの腕を掴んだ男の人の手を、慌てて振り解く。



「なんなんだよおまえ、さっきから!あんたは村井梓のおまけなんだよ!邪魔すんじゃねー!」