世界で一番好きな人

掴まれた腕を解こうとするが、男の人の力はやっぱり強くてびくりともしない。



「ほんとに離して…」


「お客様。ナンパ等の行為はお控え願います」



千瑛がグイッと腕を引いて、後ろに隠してくれた。



「あ?おにーさんに用はないから…」


「フルーツたっぷりパンケーキ三つ、でよろしいですか?」


「…もういいよそれで」



千瑛に「行くよ」と囁かれ、そのまま廊下に連れ出される。



「え、千瑛まだ中…」


「休憩入っていいって。回る約束してたろ」



千瑛に繋がれた手が、熱かった。