「…千春、もういつ死んでもおかしくないって…っ」


「まだわからないだろ。あんなに元気そうに笑ってたじゃん」


「そんなのいつもの強がりよ…!」



千春は私に絶対弱いところを見せてくれなかった。


だから私もいつからか、千春の前では明るく笑っていなきゃと思うようになり、言いたいことも弱音も全部隠してきた。



「…おかえり」



落ち着いてから病室に行くと、一時間近くも戻らなかったというのに千春は何も聞かずに優しく笑った。



「そういえばついさっきまで茉莉花ちゃんが来てくれてたんだけど…用事があるって言って帰っちゃったよ」


「わかった、俺もちょうど帰るつもりだったし送ってくる。梓はもう少し兄貴のそばにいてあげて」


「あ、うん。わかったわ」



千瑛くんが帰り、病室はしんと静まり返った。