世界で一番好きな人

「ちょっと、君!点滴ついたままで…」


「茉莉花!俺、茉莉花を不安にさせてごめん。だけど茉莉花が大切なんだ。だから…」


「一ノ瀬くん…?」



初め、誰のことを言われているのかわからなかった。


だって茉莉花が俺を名字で呼んでた時期なんて、入学してから一週間の間だけだから。



「千瑛!すみません、お騒がせして…。ほら、病室戻るわよ」


「え…待って、俺…」


「千瑛くん、だね?少し話があるから来てくれるかな?」



騒ぎを聞きつけたのか数人の看護師と眼鏡をかけた優しそうな医師がやってきて、俺を廊下に連れ出した。



「腕の骨が何本か折れてしまっているから、あまり無茶はしないでね。…一条さんは君が庇ったんだよね?ただ、頭を少し強く打ちつけてしまったみたいで、少し記憶が混乱してるみたいなんだ」