しょんぼりしてうつむくと、スカートのポケットがブルブルと震えた。

スマートフォンを出してディスプレイを見てみると、SNSのアカウントにメッセージが届いている。

【明日の放課後は空いてますか? 図書室でスタンプカードを作りましょう。参考にする昨年のものは、会長からもらっておきます】

今階段をおりているはずのキングからの誘いだった。

「なんなの、もう……」

素っ気ない態度だったのに、こんなメッセージを送ってくるなんて。

「本当わかんない」

わからないのに、この連絡のおかげで悲しい気持ちが吹っ飛んだ。

キングは、ダイレクトメッセージになると、毎回優しい反応をくれる。

「今日会える?」と聞けば、「会えますよ。図書室で待ってますね」という返事が届く。

だけど、実際に図書室で顔を合わせると、面倒くさそうな態度をとってくる。

本当に何を考えているのかわからない人で、私はそんな彼の態度ひとつひとつに一喜一憂してばかり。

でも……。

「っ、明日楽しみ……」

いつも自分からだったから、彼から誘ってくれたことが嬉しい。

私はゆるんだ口元を、手にしていたプリントで隠し、ひそかに喜びを噛みしめていた。