この愛を一歩、一歩/その2
アキラ




「お姉ちゃんをよろしくお願いしますね、アキラさん」

「うん。ケイコちゃんには苦労かけると思うけど、オレも必死で頑張ってるから。美咲ちゃん、これからもお姉さんの力になってやってね」

「はい、任せてください」

全く美咲ちゃんて子は、素直で朗らかだなあ

性格は全然違うけど、この二人、なんていい姉妹なんだろうか


...



仲の良い素敵な姉妹の再会は約20分で終わった

美咲ちゃんは小走りして公園を後にした

「美咲はアキラのこと、いい人だって。両親とのクッションになってくれるって言ってた」

ありがたいことだ

その為にも一歩一歩、前に進まなきゃ

焦っても仕方ないし、地道に一歩一歩だ…


...


「今んとこ、友達4人から電話がきてた。薫と絵美には二人で住んでること、話して来ようと思うんだ。いいかな?」

「ああ、OKだよ」

あの千葉の海で一緒だったあの子たちには、オレも会いたい

まだ2カ月程度しか経っていないのに、凄く懐かしい気がするんだ、なぜか…


...



「それと…、高校の同級生とか南玉の仲間、先輩後輩にも、だいたいのことは話すつもりだけど、これも構わない?」

彼女はいちいち、オレに伺いを立ててくる…

「友達には、君の判断でそれぞれ話せばいいよ。もう、必要以上に隠すこともないと思うしさ…」

とは言え、クスリのこととかは、全部本当のことは口に出せないんだよな…

このことは、ケイコちゃんも心の一辺を雲らしているに違いない

オレだってそうだ

出来れば全部ぶちまけたいさ

本当のことを、”真実”を…

「じゃあ、そうするね。丸々全部は言えないけど…」

そう言ってオレの顔を見やる彼女の目は、ちょっとさびしそうだった

彼女もオレと同じで、やるせなさを持ち続けてる

そう思うと、胸にチクリを針が刺さる感触がした