凄絶!麻衣ロード/その18
麻衣




「南玉の連中には、多少脚色して伝わるように手を回してる。そうなりゃ、ヤツのシンパがどう反応するか…。その後、起こる展開は大体想像つくだろうさ。お前ならね…」

そうか…!

いやあ、このアンコウはやっぱり超能力者だ

「冴えわたってますね、先輩。私の見立ては、こうです。さっそく、南玉の各校部隊の主だった連中がバイト先を訪れ、おけいを激励する。必然的に再び脅威となった排赤勢力の現状とともに、南玉内部の不協和音も伝えるでしょう」

「ふん、ふん…。それで、それで…」

「そうなれば、おけいの気性からして、連中に諭すことは知れてます。私の色がそのまま残っている走りの部隊との溝は、おけい自身が出張ってでも、一つにまとめますよ。内輪でもめてる場合じゃないぞって」

こういった場面でのおけいは、それこそ神がかり的なパワーを発揮するからな(苦笑)


...



「そうさ、お前にとっては、もっとも好ましい結果に落ち着くんじゃないのかい?墨東会が砂垣と対決姿勢を打ち出すこのタイミングなら、さらにその広がりが期待できるしな。ヒヒ、どうだね、私の遠隔操作は…」

「凄いですよ、さすがです。先輩の言うとおり、うまくすれば、南玉を出て行った勢力とも反排赤で連帯の道筋も開けます」

「でもまあ、1年前のこと思うとさー、因果なもんだねえ…」

あんこうさんは、何とも”らしくない”つぶやくような口調だったよ

でも、確かにその通りだ


...



私は既存のフレームを、思いっきりぶっ壊した張本人なんだ

この三田村さんをはじめ、多くの反南玉連合、反紅組の勢力を結集し、さらに相和会の力もフルに使って都県境を混乱に陥れた

その私が、今、心の底から望んでいること…

私がやってきたこととは矛盾してるし、他の連中からしたら、テメエが破壊しといて、ふざけんな!

こうくるわな

まあ、そう言われたら、こう答えるよ

”はい、おっしゃる通りです。すいませんでした。反省してます…”